壁面緑化とは?
「壁面緑化」とは、一言でいうと建物の壁を植物で覆うことを指します。基本的には壁を植物で覆うということをいいますが、最近では、プランターを壁にしたりすることもあるので、植物で覆うというだけでは壁面緑化を表現できなくなってきています。壁面緑化の形も意味も範囲が広がり、いろいろな意味で進化してきています。
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建物を守る壁面緑化
しかし、壁面緑化と聞くと、昔からある甲子園の壁を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。甲子園の壁を覆っているのはナツヅタというツル性植物で、何年もかかって成長して緑の壁が作られ見事な壁面緑化になっています。甲子園のリニューアル時に壁のツタをすべて剥がしたところ、壁がほとんど痛んでいなかったそうです。壁面の植物が酸性雨や紫外線による劣化から壁を守っていたのです。こういった事例でもあるように、壁面緑化は建物の外観を印象付けるだけでなく、建物を保護する役割もあるのです。
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建物の価値を高める壁面緑化
それから、壁面緑化は土地が狭い都市部を緑化していくにはとても合理的な手段です。建物に付随して設置することができるため、土地がなくとも設置できるのが最大のメリットです。壁に設置することで、デザイン性のある壁面緑化が期待できます。建物や設置する壁面に合わせた形や植栽の選択によって、全体的なデザインイメージを表現できます。デザインによっては、建物の付加価値を上げることが可能なのは、大きなメリットです。商業施設に壁面緑化を設置して集客力を向上させたり、マンションのエントランスなどに壁面緑化を設置してマンションの高級感を高めたりと景観や環境に配慮することで価値を高めることが可能です。
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温暖化や環境に効果
今まで、自然よりも都市の開発を優先して私たちは発展してきました。植物やそこで生息する鳥や昆虫たち生物の環境を破壊して、成長を遂げてきたのです。ところが、その生態系を無視して建物や道路などコンクリートで埋め尽くされた結果、都市部のヒートアイランド現象や都市洪水などが発生し、近年、問題になっています。壁面緑化はヒートアイランド現象を和らげるのに有効であるとの結果が出ています。また、壁面緑化に植えた植物を生息地としてに鳥や昆虫たち生物がやってきて、生態系を取り戻すのにも有効だと考えています。壁面緑化は、植物やそこで生息する鳥や昆虫たちの生態系を復活させ、緑ゆたかな都市環境を実現していくことが可能となるのです。
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豊さや安らぎ感の向上
そして、人もまた安らぎを求めています。癒される空間を求めています。壁面緑化は、人工的な構造物で覆われた都市空間に潤いをもたらし、生活に豊かさと心理的な安らぎ感を与える効果があります。最近では、オフィスを緑化して生産性が上がるという効果も出てきているようです。また、病院や福祉施設などで園芸療法の一環として活用しているところもあります。四季を織りなす豊かな壁面緑化は、人にとってもホッとできる時間を与えてくれます。